足元の金利動向
昨年末に金利動向のブログを執筆した際は、短期金利と長期金利で金利上昇幅が異なり、長期金利のほうが大きく上昇している点に触れました。その時から4ヶ月たちましたが、高市政権の積極的な財政政策方針に加えて2月末にはイラン紛争が勃発してしまいました。原油価格は50ドル/バレル近く急騰し、これを受けたインフレ懸念が世界中に台頭しました。長期金利もさらに上昇しています。このため、今回も短期金利と長期金利にフォーカスしながら、金利動向をアップデートしていきたいと思います。
短期金利の見通し
現在の状況
4月22日現在の日銀の政策金利(無担保コール翌日物)は0.75%です。イラン情勢が日本経済に与える影響は不透明なものの、足元の堅調な物価動向と経済情勢を受けて、4月または6月の金融政策決定会合で+0.25ポイント利上げする可能性が指摘されています。しかし足元のインフレ動向を加味すると、それでも実質ベースでは依然としてマイナスです。そのためその後も定期的な利上げが見込まれています。では現状どこまで利上げすることが見込まれているのでしょうか。
今後の目標水準(ターミナルレート)
景気を過熱も停滞もさせない中立的な実質金利のことを自然利子率と言います。日銀の2024年12月の公表時点では、これを▲1.00%から+0.5%としていましたが、この自然利子率に対してインフレ率を加えたものが名目中立金利となります。日銀はインフレ率が中長期的に2%で安定推移する(つまり期待インフレ率も2%で安定推移する)ことを目標としていますので、目指すべき政策金利水準(ターミナルレート)は、+1.00%~+2.50%になる点について前回触れました。
日銀は3月27日にこれをアップデートしましたが、今回もあまり変わらず▲0.9%から+0.5%と推計しています。ただ今回の推計に当たって日銀は、「自然利子率の推計にかかる不確実性は大きく、(中略)日本銀行が緩和度合いを評価するに当たっては、実質金利と自然利子率の関係だけでなく、経済・物価・金融情勢を丁寧に点検しながら、総合的に判断していく必要がある」としており、過度に注視しないとしている点には注意が必要です。
また昨年12月時点では、今後減少していく日本の人口動態などから自然利子率水準は長期的に低下傾向にあることを背景に、上下限の真ん中より少し下の+1.50%あたりが今回の利上げの到達点ではないかと言われていました。しかし今回、各種推計値が緩やかに上昇していることが確認されたことやイラン紛争で世界的にインフレが進行・高止まりする観測も受けて、市場が期待するターミナルレートの水準も+1.90%近辺まで上がっています。

このため半年ごと0.25ポイントずつの利上げをしていくとすれば、2027年後半~2028年前半に利上げは一旦目途に到達したと判断される可能性があります。10月に開催された日銀金融政策決定会合で発表された「経済・物価情勢の展望」レポートでも、2027年後半には「物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移する」とされています。
自然利子率や期待インフレ率、潜在成長率等が変わらなければ、この中立金利を中心に政策金利は変動することになりますので、中長期的な短期金利の期待水準と言えます。つまり短期金利はあと2年間で1.00ポイント超上昇する可能性があるわけです。政策金利に連動する銀行の定期預金(キャンペーン時期の期間6ヶ月、期間1年)も、追随率にもよりますがこの7割程度までの上昇は見込めそうです。
リスク要因
しかし積極財政と金融緩和の両立を目指している高市政権から何らかの圧力が働いた場合、利上げスピードは「半年に一度」という想定より遅くなる可能性が高いとも前回指摘しました。案の定政府は先月、次期審議委員として過去に金融緩和や財政出動に積極的発言をしていた中大名誉教授の浅田統一郎氏と青山学院大教授の佐藤綾野氏を充ててきました。27年7月にも現在タカ派の審議委員2名が任期を迎えますので、これにもハト派の候補者を当ててくる可能性があります。そうなると会合のバランスは一気にハト派寄りになるため、利上げしにくくなる可能性が高まります。今回の中東情勢の悪化と長期化次第では、景気が悪くなっていくことも想定されるため、利上げが進むごとに政府からの反対圧力も高まっていくものと思われます。
一方で実体経済と比較して利上げが遅れると、今度は円安・インフレが加速する恐れがあります。その場合中立水準を超えた水準まで利上げをせざるを得なくなる可能性もあります(ビハインド・ザ・カーブ)。足元で短期金利に比べて長期金利の上昇度合いが高いのは、市場がこのリスクを意識しているからだとも言われています。

短期金利の推移
今度は政策金利である無担保コール翌日物金利と6ヶ月物スワップ金利(6ヶ月物定期預金金利に連動)の推移を見てみましょう。水平レンジは先ほどの中立金利の推計範囲(+1.10%~+2.50%)です。4月22日時点では、無担保コール翌日物金利の0.727%に対して6ヶ月物スワップ金利は0.9025%となっています。

長期金利の見通し
変動要因と現在の状況
長期金利は日銀が積極的にコントロールしていないため、様々な市場参加者の思惑により短期金利より大きく変動します。最近は特にインフレ動向に対する思惑に影響されることが多いと言われています。
短期金利から見た長期金利の居場所
今回も短期と長期の金利差(イールドカーブ)推移を確認してみましょう。短期金利は政策金利で比較的明確ですので、これまでの長短金利差から長期金利の水準(=円定期plus⁺ の金利水準)を考えるというわけです。

前回指摘した通り、政策金利と10年国債金利の差は1996年に2.80ポイント近辺まで拡大したものの、バブル後の景気長期低迷やデフレ長期化を受けて2019年には▲0.20ポイント近辺まで縮小しました。その後はインフレ高進や日銀の利上げ見通しを背景に1.70ポイント近辺まで広がっています。
日銀の利上げが中立金利推計値近辺の1.75%まで進んだ場合、ヒストリカル的には1996年の2.80ポイントを足した4.55%近辺まで拡大する可能性があると言えそうですが、そこに至る前に長期金利高騰を嫌気した高市政権の要請により政策金利の引下げ圧力がかかる可能性があるのは前回指摘した通りです。また資産効果により景気後退に陥って、長短金利差がむしろ縮小していく可能性もあります。
主要エコノミストは、利上げが進むにつれて景気を抑制する効果が大きくなり、長期金利には低下圧力が働くため、長短金利差は縮小していくとみているかたが多いです。執筆時点では、2027年9月までに政策金利は1.33%と現状から0.58ポイント上昇するとみているかたが多いのに対して、10年国債金利は2.57%と現状(4/22時点で2.40%)からあまり変化しないとみているかたが多いようです。

前回指摘した「長短金利差が反転縮小した2007年の水準」はすでに超えてしまったのですが、ここにきてイラン紛争の長期化等で景気後退に陥る可能性が出てきました。また米国ではプライベートクレジットファンド(*)に関する信用収縮につながりかねない問題も出てきています。長短金利差がこの水準で反転していくのか、さらに広がっていくのか、先行きは相変わらず不透明です。
(*)一般的に信用力が低いとして銀行からローンを借りづらい企業を主な投資対象として運用するファンドのことで、デフォルトリスクは高いものの高利回りとなるのが売りとされ、富裕層や機関投資家に広がっています。昨今のAI革命により事業が成り立たなくなるとされるソフトウェア企業に対する融資割合が多いとされ、昨年より解約請求が増加しています。しかし解約は四半期ごとファンドの5~10%程度までに制限しているところが多く、この制限が不信感につながっています。本邦機関投資家の購入額は少ないとされますが、4月上旬には金融庁が国内金融機関による同ファンドの保有調査を始めました。
長期金利の推移
10年物国債金利(円定期plus⁺ 10年物に連動)と15年物国債金利(円定期plus⁺ 15年物に連動)の推移を見てみましょう。4月22日時点ではそれぞれ2.402%(前回12月は1.958%)3.515%(同2.883%)まで上昇しています。この間政策金利は変わりませんので、引続き10年以上の長期金利は政策金利の引上げ以上の上昇を続けていますし、10年物より15年物の金利のほうが上昇幅が大きいです。

まとめ
いかがでしたでしょうか。金利は引続き上昇傾向ですので、このままどんどん上がってしまうのではないかと感じるかたが多いですが、足元ではイラン紛争による景気後退リスクも高まってきているため、長期金利は反転低下していくリスクも依然あります。いずれにせよ非常に不確実性の高い情勢であることに変わりはありません。このため満期まで解約する必要のない余裕資金の一部を、満期まで保有すれば元本保証で通常の円定期預金よりも高金利の円定期plus⁺ に預入れて、金利が下がった場合に備えるのはいかがでしょうか。当行の円定期plus⁺ は他行同種商品と比べても高い金利水準を提示しています(直近6ヶ月前からの実績値)。
さらに2026年4月23日(木)から2026年5月13日(水)までは通常よりも高い特別金利でご提供しています。期間6ヶ月、期間1年という比較的短期の円定期預金と比較すると、2.0ポイント以上高い金利を享受できる円定期plus⁺ をぜひご検討ください。
なお、円定期plus⁺ は当社判断により満期の早期繰上の可能性があることにご留意が必要です。フラット型でも今後金利が一定水準以下に低下してしまえば、早期償還されて当初の高金利を享受できなくなる可能性があります。ステップアップ型でも今後金利が約定金利水準以上に上昇してしまえば、他の預金商品よりも低い金利で預入継続となる可能性があります。
円定期plus⁺ は原則中途解約ができず当初預入期間の長い商品です。当社がやむを得ない事情と認めて中途解約に応じる場合、損害金をご負担いただくこととなり、元本割れが生じるリスクがあります。ご検討いただく場合は余裕資金でのお申込をお願いします。
本ブログに掲載したすべての画像の出所はBloombergです。