2026年6月5日(金)、日本時間21時30分に米国で5月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント
「ケビン・ウォーシュ新FRB議長の差配」
ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹
2026年6月16日、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ケビン・ウォーシュ氏が米連邦準備理事会(FRB)の議長に就任後、初の会合となります。
ウォーシュ議長は5月22日に行われた就任宣誓式で、「FRBの使命は、物価の安定と最大雇用を促進することだ」とFRBの2大責務に言及しつつも、「これらの目標を適切に追求すれば、インフレはより低く、成長はより力強く、実質可処分所得はより高くなり、アメリカはより豊かになるだろう」と述べました。実際、イラン情勢による原油価格の高騰に伴い、4月の米消費者物価指数(CPI)は総合が前年比+3.8%と急加速しました。インフレによって米実質勤労所得が縮小すれば、今後個人消費が圧迫される可能性もあるでしょう。上述の発言からは、ウォーシュ議長が、少なくとも足下は「物価の安定」を重視していることが見て取れます。トランプ大統領も同就任宣誓式で、「彼(ウォーシュ議長)には独立して、素晴らしい仕事をしてほしい。私の顔色を見る必要もない」と述べ、パウエル前議長に対して行ってきた「利下げ要請」は影を潜めました。
米国ではインフレの加速とFRB議長の交代、トランプ大統領のスタンスの変化などによって、市場参加者によるFRBの利下げ観測は後退し、むしろ来年3月までに1回程度の「利上げ」が織り込まれています。ただ、今年3月初旬ころまでは、年内2回、3.0%程度までの利下げが市場で予想されていただけに、雇用情勢次第では、再び利下げ観測が台頭する可能性もあります。仮に、3月、4月と比較的堅調に推移してきた雇用統計が、5月に急速に悪化するようなら、為替はドル安に振れる可能性があり、注目したいところです。
プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)

プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)
ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より現職。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。主な著書に『為替ってこんなに面白い!(2024年幻冬舎新書)』、『〈最新版〉本当にわかる為替相場(2023年日本実業出版社)』などがある。ソニー銀行株式会社取締役、ウェルスナビ株式会社顧問。人生投資アカデミー® 学長。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
| 発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
| 2026年6月 | +9.5万人 | 発表前 | 発表前 |
| 2026年5月 | +6.0万人 | +11.5万人 | 発表前 |
| 2026年4月 | +6.5万人 | +17.8万人 | +18.5万人 |
| 発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
| 2026年6月 | 4.3% | 発表前 | 発表前 |
| 2026年5月 | 4.3% | 4.3% | 発表前 |
| 2026年4月 | 4.4% | 4.3% | 4.3% |
出所:時事通信社(2026年5月28日(木)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢をみる十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2026年5月8日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2026年4月3日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2026年3月6日発表分)


