
2025年9月5日(金)、日本時間21時30分に米国で8月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。
今月の注目ポイント「今後の利下げを占う労働市場の現況確認」
ソニーフィナンシャルグループ シニアアナリスト 石川 久美子
8月1日に発表された前回7月の雇用統計は市場予想よりも弱い結果だったうえ、過去2ヶ月分も新型コロナウイルスがパンデミックとなった2020年以来の大幅な下方修正となったことで、市場は動揺しました。さらに、トランプ米大統領は雇用統計を発表する労働統計局(BLS)のマッケンターファー局長について「政治的な理由で統計を操作した」とし、解任を発表。雇用統計を故意に操作したかどうかの証拠もなく局長が解任される事態によって市場はさらに混乱し、この日のドルは大幅安となりました。
7月の米雇用統計に関しては、非常に弱い結果だったことは確かで、これをもってトランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)に対して利下げするようさらに圧力をかける流れとなっています。しかし実際のところ、本当に大幅な利下げを必要とするほど労働市場が弱いかどうかは明らかではありません。他の雇用関連指標に関しては底堅い状態が続いているためです。また、インフレ再加速の懸念も根強く意識されている中で、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの中でも、今後の利下げに対する見方は割れている状態です。そうした中で発表される今回の8月雇用統計は、今後の金融政策を見定めるうえで非常に重要な回と言えるでしょう。
仮に非常に弱い結果が出れば、大幅利下げ観測が強まり、ドル安が進行する可能性があります。ただし、もともと振れの大きな指標であるがゆえに、前月の反動で非常に強い結果が出ることも十分にあり得ます。その場合はドルの急反発となるでしょう。ただ、その場合はトランプ大統領からの反発は必至と見られ、発言を受けてのドルの乱高下も警戒が必要です。
プロフィール
石川 久美子(いしかわ くみこ)
プロフィール
石川 久美子(いしかわ くみこ)
商品先物専門紙での貴金属および外国為替担当の編集記者を経て、2009年4月に外為どっとコムに入社し、外為どっとコム総合研究所の立ち上げに参画。同年6月から同社研究員として、外国為替相場について調査・分析を行う。2016年11月より現職。外国為替市場に関するレポート執筆の他、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」など多数のメディアに出演し、金融市場の解説を行う。資源国・新興国通貨に強い。著書に『円安はいつまで続くのか 為替で世界を読む(2025年マイナビ新書)』がある。Xでの情報発信(@KumiIshikawa_FX)も行っている。
米国雇用統計の主な指標の実績と予想
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2025年9月 | +8.0万人 | ||
2025年8月 | +10.8万人 | +7.3万人 | |
2025年7月 | +11.4万人 | +14.7万人 | +1.4万人 |
発表年月 | 予想値 | 実績値 | 修正値 |
2025年9月 | 4.2% | ||
2025年8月 | 4.2% | 4.2% | |
2025年7月 | 4.3% | 4.1% | 4.1% |
出所:時事通信社(2025年8月29日(金)時点)
米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。
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過去の記事はこちら
米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年8月1日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年7月3日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年6月6日発表分)