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米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年10月3日発表分)

2025年10月3日(金)、日本時間21時30分に米国で9月雇用統計が発表されます。
今後の為替動向を占う意味で注目度の高い米国雇用統計。今月の注目ポイントをお届けします。

今月の注目ポイント
FRB利下げ後のドル相場

ソニーフィナンシャルグループ チーフアナリスト 尾河 眞樹

9月17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利を0.25%ポイント引下げ4.00-4.25%とすることが決定されました。ただ、8月のジャクソンホール・シンポジウムでのパウエル議長の「地ならし」や、8月の雇用統計の弱さなどから、0.25%ポイントの利下げ自体は100%市場に織り込まれていたため、特にサプライズはありませんでした。注目されたFOMCメンバーによる政策金利見通し、いわゆる「ドットチャート」では、2025年の利下げ回数は、今回も含めて6月時点の2回から3回に増加しましたが、これについても、事前に年内3回の利下げは市場に織り込まれていました。また、2026年、2027年の追加利下げもそれぞれ1回ずつで、6月時点と変わらず。また、パウエル議長は会見で、労働市場の下振れリスクを強調したものの、インフレの上振れリスクにも触れるなど、特段、大きくハト派に傾いた印象はありませんでした。このため、ドル円は利下げ発表直後に145円台半ばまで下落する場面もみられましたが、その後素早く持ち直した格好です。

物価の安定と雇用の最大化という、2つの責務(Dual Mandate)を持つFRBにとって、このどちらを優先するか難しい環境となるなかで、9月の雇用統計にも注目が集まります。このところの雇用統計の弱さについては、政府効率化省(DOGE)による政府部門の人員削減や、移民取り締まり強化による移民の雇用減など、トランプ政権の政策による影響が、統計のかく乱要因となっている可能性はあるでしょう。とはいえ、JOLTS求人件数も減少傾向にあるなど、米労働市場は全体として弱含んでいる様子が見て取れます。

9月分の雇用統計については、非農業部門雇用者数が前月比で引続き10万人を下回る弱い伸びとなるか、失業率が4.3%からさらに悪化するか、などが焦点となるでしょう。前回を下回るほどの弱い結果となれば、大幅な利下げに対する期待が高まって、ドルが急落する可能性もあるため注意したいところです。

プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)

プロフィール
尾河 眞樹(おがわ まき)

ファースト・シカゴ銀行、JPモルガン・チェース銀行などの為替ディーラーを経て、ソニー財務部にて為替リスクヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析を担当。2016年8月より当社執行役員。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、日経CNBCなどにレギュラー出演し、金融市場の解説を行っている。主な著書に『為替ってこんなに面白い!(2024年幻冬舎新書)』、『〈最新版〉本当にわかる為替相場(2023年日本実業出版社)』などがある。ソニー銀行株式会社取締役、ウェルスナビ株式会社顧問。

米国雇用統計の主な指標の実績と予想

非農業部門雇用者数変化
発表年月 予想値 実績値 修正値
2025年10月 +5.2万人
2025年9月 +7.5万人 +2.2万人
2025年8月 +10.8万人 +7.3万人 +7.9万人

失業率
発表年月 予想値 実績値 修正値
2025年10月 4.3%
2025年9月 4.3% 4.3%
2025年8月 4.2% 4.2% 4.2%

出所:時事通信社(2025年9月26日(金)時点)

米国雇用統計とは
米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。非農業部門就業者数や失業率など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。
雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するため、米国の景気動向を測るうえで重要な指標であり、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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過去の記事はこちら

米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年9月5日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年8月1日発表分)
米雇用統計・今月の注目ポイント(2025年7月3日発表分)

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