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運用のプロに聞いてみた!迷っている人こそ、「世界全体に投資する」ことから始めてみよう

三井住友トラスト・アセットマネジメント
アクティブ運用部 債券・マルチ戦略運用ユニット
マルチ戦略運用チーム長
濵地 健太郎さん

20091月に設定された「世界経済インデックスファンド」は17年以上の運用実績を持ち、今年1月には純資産残高も5,000億円の大台を突破しました。とりわけ新NISAのスタート以降に大きく残高を伸ばしていて、積立投資で活用する投資家が多いのも特徴です。ソニー銀行のランキングでも、長年にわたって上位にランクインしてきたファンドでもあります。

人気の一因となってきたのは、全世界の株式、債券にそれぞれ50%ずつ、インデックスファンドを通じて分散投資するというシンプルな運用方針。その設定・運用を担う三井住友トラスト・アセットマネジメントの濵地(はまち)健太郎さんに、同ファンドのこれまでの歩みを振り返ってもらいつつ、強みや特徴、運用の手法など、さまざまな角度からお話を伺いました。

なぜGDPの規模に応じて投資配分を決定するのか

「世界経済インデックスファンド」は、多くの投資家に支持され続けてきたロングセラーファンドです。長年、人気を保ってきた理由はどこにあると考えていますか。

濵地 設定直前の20089月にはリーマン・ショックが起こり、その後の欧州債務危機、直近でも2020年のコロナ・ショックなど数多くの危機を乗り越えてきたファンドです。この間、幅広い地域の株式、債券にそれぞれ分散投資しながら、世界経済全体の成長を取込んでいくという運用方針をブレることなく貫いてきました。その結果、投資家の皆さまに良好なリターンを提供し続けてこられたことが、信頼を獲得できた最大の理由だと考えています。

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その時々で大きく成長する国・地域もあれば、停滞してしまうところもある。それでも世界全体で見れば成長は続いてきたし、今後も続いていくと考えられる。「世界経済インデックスファンド」は、そんな考え方そのものに投資するファンドだといっていいのかもしれませんね。大きな特徴は、地域別の投資比率を各国のGDP(国内総生産)総額の比率を参考にしながら決定するという点です。GDPではなく、各国・各地域の市場の時価総額に応じて比率を決めるほうが一般的だとは思いますが、なぜGDPに着目したのでしょう。

濵地 やはりGDPというのは、世界経済の規模を表すうえで非常にわかりやすく、いわばキャッチーな指標でもあります。また、例えば株式の場合、市場の時価総額に応じて地域別の配分比率を決定すると、米国の比率が半分以上を占めてしまいます。しかも、米国株式市場の時価総額上位銘柄にはIT系の企業が多いため、地域的にも業種的にも偏りやすくなるのは否めません。

もちろん、それにはメリットもあって、近年の米国IT系企業の急上昇による恩恵を受けやすかった面はありました。ただし、「世界経済インデックスファンド」の「世界経済全体の発展を享受する」というコンセプトからすれば、特定の市場、特定の銘柄の影響をなるべく抑える必要があります。それによって、長期投資において最も重要となる分散効果をより高められるわけです。

確かにGDPを指標にするほうが、世界全体に投資するというイメージは湧きやすいかもしれません。相対的に新興国の比率が高くなるのも、メリットだといえるのでしょうか。

濵地 はい。このファンドの運用手法は、特定の地域、銘柄を当てにいくようなものではありません。新興国を含めた世界経済全体の成長を長期にわたって取込むという考え方は普遍的なもので、設定から17年以上が経過した今でも決して色あせていないといえるでしょう。だからこそ、2024年の新NISAのスタートを、当ファンドがさらに普及する契機とすることもできたのです。

株式だけではなく、債券にも投資するメリットとは?

NISAで長期の積立投資が根付いたことも、「世界経済インデックスファンド」の追い風になったということですね。もっとも、最近は長期・積立投資であれば、株式だけで十分という意見も目に付くようですが......。

濵地 長期の資産形成という観点であれば、株式の高い成長力が注目されるのは当然です。しかし一方の債券にも安定した利回りという強みがあり、特に何らかのショックが起こった際には株式のリターンを補完する役割を担います。つまり、債券を組入れることで全体の振れ幅を抑制する効果が期待できるわけですから、結果として長期の積立投資を継続しやすくなるのです。

特にここ数年は、積立で資産形成を始める人が急速に増えています。足元でも不安定なマーケットが続いていますが、そうした初心者のかたは相場の変動に耐えられず、積立投資をやめてしまうかもしれません。積立で最も重要なのは継続することですから、まさに債券は「続ける力」をもたらしてくれるのです。

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積立投資の対象としては、ある程度の振れ幅があるもののほうがより効果的といわれているものの、振れ幅に耐えきれずやめてしまったら元も子もないわけですね。

濵地 はい。このファンドも決してリスクが低いわけではありませんが、例えばS&P500のインデックスファンドと比較すれば傾向として振れ幅を抑制できているのは事実です。振れ幅は大きすぎず、かといって小さすぎもしない。積立投資においては、良い塩梅のファンドといえるのではないでしょうか。

しかも、「世界経済インデックスファンド」には株式の比率を75%にまで高めた「株式シフト型」、逆に債券の比率を75%にまで高めた「債券シフト型」もありますから、投資家が振れ幅、リスクを選ぶこともできます。

濵地 おっしゃる通りで、ご自身の年齢やライフスタイルなどに合わせて、3つのタイプから選んでいただける点も大きなメリットです。

資産形成のコアとして、相場変動に一喜一憂しないことが大切

実際に運用するに当たり、資産の配分比率はどのように調整しているのでしょうか。

濵地 このファンドは株式と債券、それぞれに3ファンドずつ、計6つのインデックスファンドを投資対象としています。例えば株式についていえば、国内株式、先進国株式、新興国株式という各資産を対象とするインデックスファンドに投資していて、この3ファンドの比率を変更することで地域別の配分を調整しています。その配分比率は前述の通りGDPを参考にしていますが、それだけではなく、マーケットの規模や政治的なリスクなども考慮して最終的に決定します。

調整はどれくらいの頻度で行うのですか。

濵地 検討自体は年1回、必ず行うものの、実際に配分を変更するのは5年に1回程度にとどめています。というのも、投資家の皆さまが求めているのはGDPの規模を正確にトレースすることではなく、あくまでも長期的なリターンだからです。私たちも長期の目線で運用していますので、あまり短期的な変化に応じて配分を動かしてしまうと、ファンドのコンセプトからズレが生じてしまいます。

直近でも株式市場は大きく動いていますが、そうした変化に応じて配分を変えたりもしないわけですね。

濵地 はい。相場が急変したからといって、慌てて何かをするということはありません。ただ、投資家の皆さまからすれば、相場の急変時にご自身の資産の値動きが気になってしまうのも当然のこと。ですから、レポートなどでマーケットに対する見方をしっかりお伝えするとともに、運用自体は長期目線で行っているという点を丁寧にご説明することこそが最も大切だと考えています。

現在の投資環境をどう捉えているのでしょう。

濵地 イラン情勢の影響もあって、今後も相場は大きく変動する可能性があり、不安定な環境がしばらく続くことになるのでしょう。それでも中長期的に見れば、これまで同様、世界経済全体では着実な成長が続いていくはずです。

もっとも、地域的な強弱はあり、それぞれ個別のリスク要因が意識されやすい状況にありますから、特定の国、地域に偏らず、幅広く分散することの意義が従来以上に高まっているのは間違いありません。投資家の皆さまも短期的な変化に一喜一憂することなく、長期で保有し続けていただきたいですね。

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改めて、「世界経済インデックスファンド」をどのように活用してもらいたいと考えていますか。

濵地 前述の株式シフト型、債券シフト型を含めて、あらゆる投資家の皆さまのコアになり得るファンドだと自負しています。このファンドを資産形成の中心に据えていただき、投資に慣れてきたらご自身の相場観も織り交ぜつつ3つのタイプを使い分けていただいたり、その他のファンドを組合わせていただいたりといった使い方もできるでしょう。

最後に、このシリーズでは皆さんにお伺いしていますが、これだけ資産形成の裾野が広がっている中でも、いまだに第一歩を踏み出すのを躊躇している人は少なくありません。そうした人たちに向けて、アドバイスをいただけますか。

濵地 近年、資産形成を巡る環境は大きく変化してきています。その1つが、NISAなどの制度の創設をはじめ、政府が「貯蓄から投資へ」の流れを強力に推進していること。そしてもう1つが、インフレの状況が定着しつつあることです。特に後者に関していえば、デフレの時代には資産を預金で持っておけばその価値が相対的に高まっていました。しかし、インフレの環境下では預金の価値が実質的に目減りする可能性がありますから、資産形成の必要性が高まっているのは明らかです。

それでも日々の値動きを見ていれば、誰しも不安になってしまうもの。だからこそ、まずは少額から、しかも積立投資で始めれば、資産形成のハードルはより低くなるはずです。その最初の商品、資産形成の土台として、「世界経済インデックスファンド」は皆さまの後押しができるファンドだと信じていますし、それだけの実績も備えていると自負しています。当社としてもこのファンドをコアと位置付けていますから、今後もさらに広く普及させていきたいですね。

本日はありがとうございました。

(参考ファンド)
世界経済インデックスファンド
世界経済インデックスファンド(株式シフト型)
世界経済インデックスファンド(債券シフト型)

インタビュー・文:金融エディター・菊地 敏明

菊地敏明(きくち としあき)

インタビュー・文:金融エディター 菊地敏明

菊地敏明(きくち としあき)

金融エディター
1969年生まれ。1993年に学習院大学を卒業後、月刊総合誌、ビジネス書などの編集に携わる。2007年に株式会社想研入社。同社が発行する金融情報誌『Ma-Do』で資産運用ビジネスの情報を取扱い、銀行や証券会社、運用会社などの取材も数多く手がける。長らく同誌編集長を務め、2019年には執行役員に就任。現在は『Ma-Do』特任シニアエディターを務める傍ら、さまざまな金融コンテンツの作成に携わる。著書に『銀行ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

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NISA投資信託積立資産形成資産運用

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